ウーブログ

Mr.Childrenが大好きな一教師のブログです。

22「『名もなきフェイク』後編」の巻

フェイクは名もなき詩に通ず

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今回もミスチル療法について書いていきます。

舌を出したジャケット写真が共通しているだけじゃない『名もなき詩』と『フェイク』。

今回は、前回ブログ「『名もなきフェイク』前編」の続きです。

ですので、前回のブログを読んでいない、または内容を忘れたという方は、前編の方をお読みください。

kyousikitibee.hatenablog.com

 

とはいえ、ここでざっとおさらい。

名もなき詩』における「あるがままの心で生き」ること。それを考えるためのキーワードが「自分らしさの檻」でした。

ここで、「自分らしさの檻」とは、認知行動療法的に言うと「心のクセ」「考え方のクセ」「認知の歪み」ということになります。

 

『フェイク』における「すべてはフェイク」とは、自分がこれまで生きてきた中で「心のクセ」というフィルターを通して見聞きしてきた物事のことだということができます。

また、「体中に染みついている嘘」とは、そうして身に付いてきた自分の「捉え方」や「スキーマ」のことであり、それが「自分らしさの檻」を形成していくのではないかということです。

 

では、ここから今回の内容に入っていきたいと思います。

「自分らしさの檻」から抜け出すには、どうしたらよいのか?

そのヒントは、『名もなき詩』にも『フェイク』にもあります。

 

名もなき詩』の2番のサビの歌詞に、こうあります。

街の風に吹かれて唄いながら
妙なプライドは捨ててしまえばいい
そこからはじまるさ

心理学者でも禅僧でもない、バンドマンである25歳の桜井さんがこの歌詞を書いたと思うと、驚きを隠せません。

 

まず、「街の風に吹かれて」です。

皆さんは、普段街に出たときに「今、私は街の風に吹かれているなぁ」と考えますか?暑い日に気持ちの良い風が吹いたり、反対にびゅーっと寒い風が吹いたりすれば、風を意識することもあるでしょう。しかし、そうでない場合は、ほとんどの方は、特に風のことを考えることはないのではないでしょうか。

「あるがまま」を受け入れる心の第一歩は、「今、ここ」に意識を集中することです。風を感じてみましょう。肌で。音で。揺れる木の葉で。五感を意識することで、「今、ここ」を感じるのです。

次に「唄いながら」です。

歌うことはいいことです。なぜなら、歌うことは一種の運動です。体のエネルギーを使うことで、ストレスの発散になります。また、歌うことは楽しいことです。楽しい歌を歌っている間は、悲しいことやイライラしたことを考えません。

ネガティブなことを考える時間を減らし、ポジティブな心でいる時間が増えるのです。そうすることで、心の「負のスパイラル」から脱却し、「素直な精神状態」に近づきます。そして、次第に「妙なプライド(自分らしさの檻)」を捨てることができ、あるがままを受け入れることがるようになるでしょう。

 

この名曲を25歳で発表した桜井さん。やはりタダモノではありません。

さあ。ここまでで、だいぶヒントは得られました。

 

そんな『名もなき詩』から約10年。桜井さんは『フェイク』の歌詞でこう書きました。

飛び込んでくる音 目に入る映像
暫く遮断して心を澄まして何が見えますか? 誰の声が聞こえますか?
いつまでも抱きしめていれるかな? 

 これはつまり、「瞑想」を意味していますね。「禅」にも「マインドフルネス」にも、そのエクササイズの主要なものに「瞑想」があります。

視覚を遮断することは、目を閉じれば可能です。聴覚についても、静かな場所で耳栓をすれば、ほぼ可能です。しかし、なかなか遮断できないものがあります。

それは「思考」です。

「心を無にする」ということは、難しいものです。「考えまい、考えまい」と頑張っても、考えてしまうものです。「心を澄ます」というのは、そう簡単なものではありません。

そこで、「呼吸」がポイントになります。

ほっぺたから横隔膜まで誰かを呪ってやるって気持ち膨らまし」ては、「心を澄ます」ことはできません。ほっぺたや横隔膜を膨らますのは、そのような怨念ではなく「空気」です。

大ヒット中の「鬼滅の刃」では「全集中の呼吸」が重要ですが、まさにそうです。呼吸は非常に重要です。

静かなところで、目を閉じ、椅子に浅く腰掛け、腰骨を立て、背筋を伸ばし、肩の力を抜き、顎を引きます。または仰向けに寝てもよいです。

腹式呼吸で、鼻からスーッと息を吸い、口から細く長く吐くようにします。自分の呼吸にのみ意識を集中させます。こうして呼吸を整えることにより、副交感神経が優位になり、気持ちがリラックスしてきます。

「呼吸」という、ゆるぎない「今、ここ」に意識を集中することは、あるがままを受け入れるための重要なポイントとなります。

このような瞑想に日々取り組むことで、心に付着した垢(体中に染みついている嘘)は次第に剥がれ落ちてゆき、究極的にはその内部にある「純粋意識」へとたどり着くのです。そこで感じる世界は、どんなものでしょうね。

「何が見えますか? 誰の声が聞こえますか?」

 

まとめ

マイナス思考、心に余裕が持てない、考えすぎる…。そんな精神の「負のスパイラル」を断つには。

・「自分らしさの檻」から脱却する

・そのために「あるがままを受け入れる心」を目指す

・そのためにできることは

①街の風に吹かれる(「今、ここ」に意識を向ける)

②唄う(「ネガティブな時間よりポジティブな時間を増やす」)

飛び込んでくる音 目に入る映像を暫く遮断して心を澄ます(瞑想する)

 

以上が、禅や認知行動療法(マインドフルネス)とミスチルを融合させた「ミスチル療法」における

『名もなきフェイク』

でした。

 

このブログを書いて、僕自身これまでよりも一段と桜井さんの素晴らしさを認識しました。それと同時に、認知行動療法への造詣もより深まったように思います。

作詞家として追究してきたものであっても、科学として追究してきたものであっても、深く高い次元までいくと、他分野であっても矛盾せずに融合するものなんだなぁと感じます。